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映画:山本五十六をみて

12/23より映画「山本五十六」が公開されています。
私は初日に行って来ました。

正直に言うと演出が下手だなというのが第一にあって、本当にこの様な言動をしていたのかな?と言う感想を持ちました。
具体的に言うと、作戦中のさなか部下に対して将棋を誘ったり、ミッドウェイで日本側の空母が次々と撃沈された報告を受けても、さして大きな衝撃すらもない様子。

実際、人の上に立つものは動揺を部下に悟られない為に常に冷静な指揮をすると言われていますが、映画の演出上工夫がなされていても良かったのではないでしょうか。
この映画では、従来の戦争映画に登場する山本五十六とは違った側面が描かれていますが、良くない方へ誤解をする人もいると思います。

ただ本来なら壮大なドラマである筈のものが、一本の映画に凝縮されることは大変に難しい訳ですが、この映画をみると山本五十六が薄っぺらく感じます。
もっと氏の深みを表現出来なかったのかと思います。

いわゆる洋画が日本で人気である理由は、暗いだけの映画ではなく楽しく明るい部分と悲しい部分が上手く使い分けられていてメリハリのある様に演出されていることだと思います。
どうも日本映画は娯楽として人に楽しませると言うことが下手なせいか、損をしている部分が大きいです。

また昔の映画では、模型による特撮が多く何か初期のウルトラマンを連想させる嘘っぽい映像でしたが、この映画ではCGを駆使して以前とは比較にならないリアルな映像にはなっています。
きっと映画をみて、艦船模型や戦闘機模型を作りたい衝動にかられた人も出て来たでしょうね。

ミッドウェイ作戦時に洋上を航行するCGで作られた竣工時状態の大和が出て来ますが、艦尾にあるクレーンのヤグラがない様にみえました。
最近の考証では、作戦時にはヤグラが倒されているとか、収納されているとかの新しい情報があるんでしょうかね。

個人的には山本五十六機が撃墜された時の演出として、地上で機体がどの様に大破したのかも描いて欲しかった。
前後に分断された機体の中央部で、どの様に亡くなっていたのかも表現して欲しかったです。
護衛機の増強案を自ら断ったのは、自殺と判断する人が少なくないと思いますが、一式陸攻から機銃が撤去されていたことも忠実に再現して欲しかったです。

どんな映画なのかを理解する為には、まずみることが大事ですが、映画はみないよりみた方がいいに決まっています。
みなければ内容は分かりませんからね。
CG技術がどんどん引き上がって来る中、以前では表現出来なかったことも再現出来る様になった訳ですが、演出が今ひとつなのは残念でした。
しかしこの映画を実績とし今後もっと優れた作品が生まれることに大きな期待をします。